ぬくもりを分け合う度に、心が触れ合う気がするのは




きっと気の所為じゃ、ない




















夕焼けの朱が夜の闇へと移り始めた頃。横の小さな存在の歩みが少し遅れている事に気付いて、ふと振り返った。
視界に入った少年は振り返られた事にも気付かぬまま。
視線は後ろへと伸び、顔は綻んで。
暗くてよく判らなかったけれど、…頬が、僅かに染まっている様にも見える。
「ルック?」
呼ぶと、ぱっと顔を上げて。慌てた風にさっと両手を後ろに隠した。
「っな、なに?」
狼狽えたその様子に、少し悪戯心が湧く。
「何隠した?」
「な…何もっ」
屈んで意地悪げに訊くと、両手を後ろに隠したままふるふると首を横に振って。
……そんな可愛い反応されたら、もっと苛めたくなるってのに。
「隠したろ? 見せろって」
「隠してな……っわ、カインっ! ひゃ…」
否定し続けるルックを抱き込んで後ろに隠してある両手を探った。
「何にも無いっ…て、ば! もッ」
抵抗する両手を掴み、ぐいっと目の前へと持ってくる。
「…………」
―――両手には、確かに何も無かった。
あれ? と首を傾げる。
「……だから、何も無いって言った……」
と、唇を尖らせて頬を膨らませるのに思わず苦笑して。掠める様にちょん、と唇を触れ合わせた。
途端真っ赤になるルックの頬。
あ、可愛い。―――なんて思ったりして。
「隠す方が悪い」
こつんと額を合わせると、ルックがぱちくりと目を瞬かせる。
くすりと微笑って。
何故だか込み上げる笑みのまま、互いに小さく微笑い合った。
「帰るか」
「…ん」
頷いたのと同時に掴んでいた右手を改めて繋ぎ直す。それを引っ張って歩き始めると、ルックは驚いた風な表情を見せた。
「ん?」
嫌か? と問うと、慌てて首を横に振る。
俺の顔と、繋いだ手を見比べて。
やがてきゅ、と手の力が強まったかと思えば、綻ぶ様に嬉しそうな笑顔を見せた。
――――その笑顔に、目が奪われる。
(…………マジ可愛いかも)
赤くなった気がする頬を隠す様に、前を向いて再度歩き始めた。
手は繋いだまま。
小さな小さな手は、酷く柔らかくて温かい。
(……取り敢えず)



帰ったら、即、キスをお見舞いしてやろう。






…なんて馬鹿な決心をしてみたり。



















『影法師』の方が意外に好評だったので書いてみたり。他にタイトル無かったんかい、という突っ込みはご勘弁…(がくり)


「デキて間も無い頃デキて間も無い頃…」と念じながら書いておりましたら、まぁカイン様が予想以上にベタ惚れベタ甘になってくれる事(笑)
所でこいつら一体何処歩いてんでしょうか←考えてない(オイ)



20040308up


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