自分でもおかしいって判ってるんだ




















じとじと。やってられない位の蒸し暑さ。
「……―――ん…」
熱帯夜特有の不快感に意識を引き戻され、僕はうんざりと瞼を開いた。途端顕著に感じるじとりとした感覚に思わず眉を顰める。
「……あつ…」
ぽつりと呟き、自分を抱き締めてくる腕をそっと解いた。起き上がって水差しの水を喉に通し、その温さに知らず目を細めて。
少し汗ばんだ額に張り付いた髪を雑に掻き上げる。ふぅ、と溜息を漏らして。未だ眠りの住人である、すぐ横の人物をちらりと見下ろした。
(……何、考えてんだろ……)
一緒に寝る時、カインは必ず僕を抱き締めて眠る。
別にそれは僕も嫌じゃ無い。三年前から当たり前に行われてきた事だし、そうやって眠る方が自然だし。異論がある訳でも無い。
――――けれど。
(…夏は勘弁してくれないかな…)
デュナンは―――トランもだけど―――それなりに、暑い。
それを人と密着して寝るとなると、当然ながら暑さは更に倍増な訳で。
「………ばか」
そんな事はちゃんと判っているだろうに。
それでも、抱き締めて眠る事を止めない相手に対して。
……暑いのに、その腕から抜け出そうとしない自分に対して、僕はぽつりと呟いた。
「……やってられない……」


―――――暑いのに、…離れたら寒いなんて。


「何が?」
不意に掛けられた声に、肩がぴくりと反応する。
「…………」
「オイ、無視すんなよ」
「…いつから起きてたの?」
「『ばか』辺り? 寒くて目ぇ覚めた」
「は?」
首を傾げて見遣れば、カインは寝転んだまま前髪を掻き上げていた。にっ、と微笑って手を伸ばし、僕の腕を掴んでくる。
軽く、引き寄せられて。
「…お前が居ねぇと、寒い」
淡い微笑と共に告げられた、言葉。
「―――っ…」
…頬が、馬鹿みたいに熱くなるのが、判った。
「ぶっ!!?」
空いている方の手で枕を掴み、カインの顔面に叩き付ける。枕の下からくぐもった声が聞こえてきたけれど、そんな事は気にしない。
「〜〜…、…何すんだ…」
「別に?」










……絶対に言ってやらない






同じ事を想っててくれて、――――嬉しかったなんて、事



















03年残暑見舞いに、希望者様にメールで配信したブツです。

冬はともかく、夏にこんなにいちゃついてるのは鬱陶しいですよね!(お前が言うか)
えーと何だっけ。iモードの受信文字数に合わせようとしたからこんなに短くなったんだっけ…かな?(記憶が曖昧)



20030921初出/20041004up


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