そして翌日。
「あーあ! 結局カインさんとは試合出来ないし、シュウさんは書類山積みにしてくるし、昨日は散々だった!」
「お前、その口調は懲りてないな…」
食堂での朝食の席でぶちぶちと愚痴を零すエルに、その向かいに座るフリックはげっそりと溜息を吐いた。
昨日待ち惚けを食らわされた件についてエルに文句を言いに行った所、うっかり軍師の書類攻撃に否応無く巻き込まれてしまったのである。嗚呼、不幸。
「カインさんも少し位付き合ってくれたら良いのに! どうしてああもルックの言葉に従順なのかな」
「そりゃあ勿論愛しちゃってるからな」
ぴしいっ、と。
不意に会話に割り込んできた声に、その場の空気が瞬時に凍り付いた。フリックなどは既に全身氷漬けの如く硬直している。
エルがゆっくりと振り返ると、其処にはカインの絶好調な微笑みが。
「……オハヨウゴザイマス、カインサン。メハナオッタンデスカ?」
「おうよ。完全復活」
にっこりと微笑みつつ、カインはすぅ、と冷ややかに目を細めて。
「―――という訳で、是非とも昨日の礼がしたいと思ってな?」










この後、地獄絵図と化した食堂は、二刻程立ち入り禁止となった。
因みにその苦情を一身に受ける羽目になってしまった軍師が、この翌日胃薬の過剰服用で医務室に運ばれる事となるのだが、それはまた別の話である。
















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2006年に発行された坊ルクアンソロ『魁間同盟!』様に寄稿させて頂いたものです。

発行された本が手元に届いた時、自分が掲載順一番手だったりとか、えろを書くと信じて疑わなかった某様とか某様とかが暗転だったりキスすらも無かったりとか、えろを書くと仰ってた某様もキス止まりだったりとか、その癖自分は「皆様が書かれるんだから!」と張り切って騎乗位なんぞ書いてたりとか、とにかく非常に居た堪れない思いをした記憶があります(笑)


取り敢えず今でも思うのは、やはり姫抱っこはやり過ぎたって事でしょうか…。



20080621up
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