お伽話に興味なんて無いけれど まだ、夜の明ける事の無い深夜。 ふと目を覚ませば、目の前には未だ安らかな寝息を立てる彼の姿。 珍しくて、ついまじまじと見つめてしまう。いつも起きるのは彼の方が早くて、こんな姿を見れる機会なんてそうは無いから。 「…………」 そっと、頬に触れた。 起きる気配は無い。いつも僕を映す蒼の瞳は伏せられたままで。 頬に掛かる漆黒の髪を軽く払って。ゆっくりと指を頬に滑らせる。 …やがて、唇に辿り着いて。 軽く撫で上げる。柔らかいそれに、とくんと胸が鳴った。 毎日って位に僕に触れてくる、それ。 指先に、安らかな吐息が掛かった。肩がぞくりと震える。 彼は未だ起きる気配を見せない。 「……ッ…」 …―――急に、心細くなった。 先刻までは、普段見れない彼を見れる事が凄く嬉しかったのに。今では彼が僕を見てくれない事に―――軽く苛立ちすら覚えて。 何て、我儘なココロ。 ……でも心細くて。 淋しくて。 僕を見て欲しくて。 「……起きて、よ……」 静かに彼に口付ける。軽くその温もりに触れて、そして離れた。 するとそれを見計らった様に、彼の眦がそろりと開かれて。 「……ルック…?」 掠れた声で名前を呼ばれた事に、その瞳に自分の姿を捉えて貰えた事に、酷く心震えた。 「…どうしたの?」 堪らず縋り付けば、不思議そうに彼が問うてくる。そんな彼に一言何でもない、と答えて。 再び、安堵と共に口付けを落として眠りに着いた。 ―――――まるで、眠り姫の様だと 終 12345hit紫雲様リクでした。 何か妙に甘ったるいというか半端シリアスというか…。 ……何なんだろうコレ(汗笑) 20020622up ×Close |