【背中合わせの恋】





本日は、晴天、秋晴れ。
蒼い空に流れてゆくのは白い雲。清々しい程のその光景に、ほんの少しだけささくれ立った心が癒される心地がする。
背中が温かくて、遠かった。
手が熱くて、胸が締め付けられる様だった。
そんな自分を悟られる様なミスは、絶対にするつもりはなかったけれど。
彼と、何処かのビルの屋上で、二人。
背中を合わせあって腰を下ろして。どちらからともなく片手を繋いで。
「……幽助」
ああ、それは何て、自分達らしい過ごし方。
「幽助?」
「……、…起きてる」
ややあって返ってきた応えは、どうにも眠気が入り混じったものだった。声を聞くと同時に、その眠たそうな顔までもが脳裏に浮かび、自然口許に微笑が浮かぶ。
触れ合う体温がいつもより温かく感じるのは、どうやら気の所為ではないらしい。
「眠いなら、もう帰りましょうか?」
問い掛けるも、今度は答えは返らなかった。
帰る気が無いのか、それとも答える気が無いだけなのか。どちらだろうと逡巡するが早いか、繋いだ手にきゅ、と力が込められる。
とく、り。鼓動が跳ねた。
幸せで、嬉しくて、……でも、苦しくて。
迷宮の様なこの想いを、それでも捨てる気すらない自分にそっと苦笑する。
返す様に此方も手に力を込め、空を仰いで目を伏せた。
自分を、そして相手を慰める様に。


(ああ、背中合わせじゃ、俺達はキスも出来ないね)





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某様のネタに乗ってみた。

蔵幽ベースで妄想してたら、何故だか蔵馬的には蔵→幽×蛍(桑でもいい)で、幽助的には幽→蔵×飛な、しかしその実は蔵→←幽だったりする超擦れ違い系両想い(本人達は片想いのつもり)ネタが出来上がりました。
そんでもって基本はやはりリバでお願い致します。だって私ですもの!(笑)

因みに、当時は私バリバリの蔵飛でございました。はい。



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