【A happy sexual life to you? 4】





すい、と唐突に目の前に現れたそれらに、ルックはぱちりとひとつ瞬き、次いでベッドに押し倒したレフィルを見下ろした。
「何、これ」
「偶然、多方面から同時に貰ったんだけれど。一応訊いておこうと思って」
どうする? と微笑んだままレフィルが問う。
その質問に、暫し逡巡する様に沈黙した後、ルックはレフィルの指先に挟まれたそれらを半ば強引に奪った。手の中に収まったそれに一瞥をくれ、やがて適当にぽいっと放り投げる。
「要らない」
「そう? でも、きっと楽だよ。後処理とか―――…」
「レフィ」
レフィルの言葉を遮りながら、ルックは顔の両横に手を突き彼を間近から見下ろした。射抜く様に視線を向け、息が掛かる程に顔を近付ける。
「こんな、僕とあんたを阻む様な物は僕には必要無い」
欲しいのは、触れたいのは、直接的な熱。分け合い、与え合う、快楽という名の恋情。
それに、無機物の入り込む隙が何処にあろうか――――?
「それとも」
あんたは、こういう物を使いたい訳?
そう僅かな冷ややかさと共に問い掛けられた言葉に、レフィルはふわりと微苦笑を浮かべてゆるりと首を横に振った。
「まさか」
そっと伸びたレフィルの手がルックの頭を引き寄せる。そのまま触れ合った唇にルックはそろりと目を閉じた。
唇からじんわりと伝わるのは、今や肌が覚えきった温もり。
「…只、今更だけど、辛いのはやっぱりルックだろうから」
だから訊いてみたんだ、と唇を離しながらレフィルが小さく呟く。
そんなレフィルの唇に指先を当てると、ルックは至極妖艶に微笑って。
「あんたが中で達く感覚、僕は好きだけど?」
レフィルの朝日色の瞳が、思わずといった風に大きく瞠られた。
同時に仄かに頬を染める珍しい様子に、ルックはくすくすと楽しげに微笑いながら熱を持った頬に口付ける。
「そうだ。折角だし、先刻のあれはリンにでもくれてやりなよ」
「…リンに?」
「あいつなら喜んで使いそうじゃないか」
「そうかな」
「そうだよ」





その数日後。
とある店で二十代後半と思われる黒髪の青年と会話を交わしながら、机に突っ伏すカインが目撃されたとか。





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ゴムネタラストー。
え、えらく掛かったなぁ…(汗笑)



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