【だからどうした?】 「……あーあ」 呆れた風に零れた少女の声に、彼等は揃ってばつの悪そうな表情を浮かべた。 一体、何が始まりだったのか。 最早理由など揃って忘却の彼方。いい年をして庭で水遊びに興じ、全身びしょ濡れになってしまった男性陣に溜息を吐き、ルーはぴっ、とバスルームを指差して。 「カインはシィンとルゥを抱えて今すぐこっちのお風呂。ルック兄さんはフィー兄さんと一緒に隣に直行。その次はリオ、テッド、シーナ、リンの順番ね」 「……あのー、因みにその順番の理由は?」 「馬鹿は風邪引かないってよく言うよね」 シーナがそろりと挙手して問うた質問に、ルーはさらりと答える。 「…………」 的確だった。 「ルー、その服何だ?」 子供二人に服を着せ、風邪を引かない様にしっかりと髪も乾かして。そうして漸く自分の髪を乾かし始めたカインは、両手に服を抱えて現れた少女にぱちくりと瞬いた。 「フィー兄さんの服。テッドの服はあるけど、シーナとリンの着替えは無いでしょ?」 小首を傾げつつのルーの言葉に、カインは納得した風にあぁ、と頷く。 「そうだな。俺等やルック兄のじゃちょっと小さいだろうし」 「うん。で、シーナは? もう入っちゃった?」 「あぁ、つい先刻…」 カインの言葉にそう、と踵を返すルーの姿を見送り、しかしカインは一拍遅れてはっと我に返った。 そういえばシーナはほんの少し前に、本当にほんの少し前に脱衣所に姿を消したばかり。 ……という事はもしかして、まだ服を脱いでいる可能性が高いのでは!? 「………!!」 そういや濡れた服って脱ぎにくいし! と慌ててバスタオルを放り投げ、カインはバスルームへと向かったルーを追い掛ける。 が、しかし。 「? どうしたの、カイン」 その途中ばったりと出くわした少女に、カインは顔を引きつらせた。 ―――その手には、何も持って、いない。 「……いや、何も」 「? そう?」 不思議そうな顔をしつつ、ルーはカインの横を通り過ぎてリビングへと消えていく。 その姿を見送った後、カインはそろそろとバスルームへと歩み寄り、そっとその扉を開いた。 其処には。 「…………」 「…………」 全裸でタオル一枚を手に、風呂場の引き戸を開けようとする態勢で固まった―――シーナが。 「…………」 「…………」 「……オ」 「お?」 「…オ、オレ、オレもうお婿に行けねーっ!!」 うわーん! と号泣し始めるシーナに、カインは頭を抱えて天を仰ぐ。 一方その頃隣家では。 「……そろそろ、出ないと拙いんじゃないかな?」 「何で」 「何でって…」 「ルーも言ってたじゃないか。馬鹿は風邪引かないんだよ。それより…」 バカッブルが風呂場でいちゃついていたりした。 ======== ちょっと調子が出なくて文章が微妙〜(汗) ルーちゃん見慣れてますから(笑) ×Close |