それは何の変哲も無い、とある夜。
カインと階段を下りていた。石畳の階段。カインが前を下りて、僕がその二つ後ろの段。ぽつりぽつりと何の変哲も無い事を話しながら。いつもの様に。
そんな時ふとカインの肩に糸屑が付いているのを見つけて。呼び掛けて。
振り返ったカインは、何故だか無性に幼く見えた。
あ、可愛いな。自然そう思って。
気が付けば少し背を屈めて。その唇に。
キスを。
……して、いた。





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